先行していたE-M5から大幅に性能をアップしたフラッグシップ機として、2013年10月にOLYMPUSから発売されたOM-D E-M1(シルバーモデルは2014年10月発売)
発売当時はその注目度から各メディアでも大きく取り上げられれ、レビュー記事等も多く存在します。
専門的な解説は専門的なメディアにお任せし、今回はゆるーく素人目線で各部分の使用感などご紹介してみようかと思います。
OLYMPUS OM-D E-M1
外観
これまでに展開されたOM-Dシリーズ、さらにはフィルム時代のOMシリーズと基本的な外観は似ているものの、一線を画しているのは大きく張り出したグリップ部。
E-M10とE-M5はデザインが似ているため遠目で見ると判別がつかない事がありますが、E-M1はこのグリップのおかげで『フラッグシップ!』と一目瞭然。そういう点では満足感につながる部分ではあるのですが、クラシックなのかモダンなのか…機能美と言ってよいのか…。
たしかに携行性やホールド感ば抜群にアップするものの、OM-Dが本来持つ風合いをぶち壊す異形の外観に、私も見慣れるまではかなり抵抗がありました。
価格
現在は生産が終了していますので、中古での実売価格は程度の低いもので5~6万円、上品で7万円前後となっています(ボディのみの場合)。
数多く出回ったブラックに対し、シルバーは後発なうえに有用なレンズセットでの展開も無かった(ボディキャップレンズセットのみ)ため、流通量がやや少なく、中古価格相場も1~2万円ほど高くなっています。
私はシルバー至上主義ですので、どんなハードルがあろうともシルバー一択ですけど。
ファームウェア
フラッグシップ機の恩恵として、E-M1は発売後のアップデートに関して非常に厚遇されています。
エントリーモデルのアップデートは細かな不具合の修正程度で終わるのが一般的ですが、こちらは新たに開発された機能の追加やメニュー設定が変更されるなど、別機種とも言えるレベルのアップデートを受けています。
2018年10月現在の最終バージョンはVer.4.4になり、発売当初は搭載していなかった以下の機能を搭載。
・ライブコンポジット撮影(比較明合成)
・深度合成撮影
・フォーカスブラケット撮影
・静音撮影
後発の機種に搭載された新機能をさかのぼって実装してくれるという、驚愕のバージョンアップになっています。オリンパスのこういうところは好きです。
各部位
続いて本体まわりの各部位について。
電源スイッチ
上面左側。電源スイッチはこの位置。
非常に個人的な意見ですが、私は唯一ここが嫌いです。位置の問題ではなく気になるのはその形状と材質。どうも頼りない気が…。
もちろんそう簡単に衝撃を受けるような場所ではありませんし問題なく作られているとは思うのですが、バッグ内のほつれた糸などに引っかかって無理に力がかかってしまったら・・・と。
電源スイッチ上にある、フィルムカメラのクランクを模したボタンデザインは好きです。
シャッター(レリーズ)
「半押しが浅すぎるうえに全押しとの差が明確では無く、半押しするつもりが全押ししてしまう」という批評を見た事があるのですが、やはり個人差があるようで・・・私は購入当初からそのような感覚は全くありません。
軽く触れて半押し、すぐに重くなる部分があり、そこからさらにほんの少し押し込む事でシャッターが切れます。コンデジなどのようなカチッとした押し具合ではなく、く…ぐにっ…といった感じ。ファミコンのAボタンのような感触です。もしくはプレステの△ボタンのような感覚です。別に□ボタンでも良いですけど。
硬すぎず、柔らかすぎず、それでいて指に伝わるメリハリがあり、個人的には非常に素晴らしい押し具合だと感じます。
これも何かに例えようと思いましたが、どうにも下品な例えしか思い浮かびませんでした(笑)
設定モードから撮影モードに戻す際にシャッター半押しで復帰させる方は多いと思います。私もそうです。その際、軽いタッチでストレス無く撮影に戻れるのも好ましい。この時に誤って全押ししてしまう…というレビューもあるのですが、どうしてそう感じるのかは私には全くわからず。半押しと全押しの差は明確だと思うのですが…。
他に「ペコペコして安っぽい」という意見もありました。それはなんとなく理解できるような気がします(笑)
チルト液晶
後継機のE-M1 Markⅱ以降はバリアングル液晶が採用されていますが、初期型E-M1はチルト液晶。
その性質上、縦持ち撮影では上下に角度調整はできません。ここも非常に好みが分かれる部分だと思います。
やはりバリアングルのほうが便利な場面は多いと思うのですが、デザインやその他の理由からチルト液晶を支持する方も多く存在し、私もその一人です。OM-Dにはバリアングルは似合わないと感じるんですよね…。
カスタマイズ性
E-M1は非常に多くのカスタマイズ可能なスイッチがあります。上面にFnボタンが2つ、背面AEL/AFLボタン、そのレバー上下、ムービーボタン、さらに・・
前面レンズ根本に2つ。
単純に合計すれば8つのカスタマイズボタンがありますが、シフト動作を利用する事でさらに複数の機能へショートカットする事も可能。
この多彩な操作まわりが非常に使い勝手良く、通常の撮影で必要な切り替えは全て補う事ができ、いちいちメニューやスーパーコンパネを呼び出す事なく素早く直感的に操作して撮影することが可能です。
些細な差とはいえ、モデルに余計な余白時間を与える事もなくなり、不意のシャッターチャンスを逃す事も少なくなります。・・・などとカッコつけて言ってみますが、私は全く人物撮りをしない人なので「モデルに余計な余白時間」なんて存在しません(笑)
どなたかモデルになって下さい。ヌードとか。いやいや、芸術です。決して下心ではありません。
不具合・その他
OM-D E-M1には持病と言ってもいい不具合が存在します。その代表がこちら。
おそらくクチコミ掲示板などで見かけた事がある方も多いでしょう。
リアダイヤルの空転
「リコール対象ではないか」との意見すら出るほど、多くの方が経験している不具合です。
症状としては「リアダイヤルが空回りする」というもの。
1コマで1段階切り替わるのが通常なのですが、反応しない場合があり、2~3コマ動かして1段階切り替わる・・といった感じです。
製造時期や個体差があるのか、その点は明確ではありませんが「E-M1と言ったらリアダイヤル」と言っても良いくらいの発生件数になっています。
対処法などはありませんので、不具合が出たら修理対応するしかありません。
ちなみに少数ですが、フロントダイヤル(レリーズボタン)に空回りの症状が出ている方もいるようです。…はい、私もです。今のところ急いで回さない限り発生しないのでゆっくり騙し騙し使っています。
EVFの焼き付き
太陽光が電子ファインダーに入り込んで焼き付きを起こしてしまう・・といった症状になります。
これは取扱説明書でも「ファインダーから内部に直接日光を当てないでください」と明記されているので、不具合とは呼べないと思いますが・・・多数の方が経験している模様。
簡単にざっくり説明すると、電子ファインダーは虫メガネで小さな液晶を見ているような仕組みになります。このレンズに太陽光が入り、焦点を結んでしまって液晶部が焼ける…という、虫メガネで黒い紙を焦がす実験と同じ理屈です。アリを焼いたりするのと同じ理屈です。
EVFの視度調整をプラス側限界付近まで設定していると発生しやすいらしく、それゆえに老眼で大きくプラス補正をしている年配者に多く発生しました。
対処法としては「視度調整をプラス側に大きく振らない」と言われていますが、どの程度なら安全かの線引きが明確ではないので、各人の判断で対処する必要があります。
ファインダーに全く日光を当てない・・というのは不可能ですので、私は「直射日光が強い時には気を付けよう」といった感じで使用しています。
その他
上記2点がE-M1の不具合として圧倒的に多い症状です。
それ以外でも使用状況などによって故障は発生しますが、それはどのカメラでも同じ事です。
あとがき
OLYMPUSは独特の魅力を感じさせるメーカーですので、こだわりを持つユーザーも多いと思います。
現行フラッグシップのE-M1 Mark2にはシルバーモデルが無いため、「旧式のE-M1を中古で購入しよう」と考える方もいると思います。
私もシルバー至上主義者ですので、葛藤しつつも中古でE-M1を購入しました。
参考記事
⇒「E-M5 Mark2(新品)かE-M1(中古)か・・・」
オリンパスが新型フラッグシップモデルでシルバーを発売してくれるまで、これを使い続けていきたいと思っています。
もしかしたらその日は永遠に来ないかもしれませんが・・・・・。