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今は『1億総カメラマン時代』などと言われ、誰でも簡単に美しい写真を撮る事ができる世の中になりました。自称であれば簡単に『写真家』『カメラマン』を名乗れる時代であり、プロを自称する方も増えてきています。しかし何をもって『プロ』とすれば良いのでしょうか。

今回は『プロ写真家とアマチュア写真家』『プロカメラマンと素人カメラマン』など、『プロとアマの違い』について…いつもの如くゆるーく考えてみようかと。

なお非常に定義が難しい問題ですので、あくまでも私個人の意見となります。全ての方に同じ価値観を強制するものではありません。

時代の変化

一昔前であれば写真撮影は限られた人間が持つスキルであり、そのスキルを発揮する場も限られていたため、プロ・アマの間にはわりと明確なラインがありました。出版社に勤めて撮影していれば文句なしにプロカメラマンですし、写真スタジオを経営して撮影している方もプロ。趣味で野鳥を撮ってコンテストで入賞しているだけではアマチュアです。

プロになるには『撮影機材と撮影技術』『写真を収入に繋げる手段(人脈やコネなど含む)』というハードルがあり、そう簡単にカメラで食っていく事はできない時代でした。

しかしそれらを根本からひっくり返す、『撮影機材の進歩』『インターネットの発展』という変化。

非常に高性能なカメラの登場により「誰でも」「簡単に」「美しい写真」を撮る事ができるようになり、インターネットの普及により「誰でも」「簡単に」「自分の作品を発信」することができるようになりました。

専門の学校に通い、しっかりと撮影技術を身につけ、著名な写真家に師事して学ぶ…といったプロセスが無駄だとは思いませんが、今はそれらをスッ飛ばしていきなり「カメラで収入!」にたどり着ける時代です。そこに「プロだけが持つ技術」「プロだけが持つ人脈」は必要ありませんし「プロだけが持つような機材」すら必要ありません。(もちろんどのようにして収入を得るかによって、必要な場合はあります)

なにせスマホのカメラでも、ストックフォトを用いて収入を得る事ができるわけですから。

さらにはSNSやブログを使って『美しい写真』を釣り餌とし、その他の収益方法で稼ぐ方法もあります。さらには自分で撮影した写真など1枚も見せる事なく『カメラ新製品レビュー!』と謳ってYoutube動画で収益をあげている方もいます。

もはや『カメラという道具を使ってお金を稼ぐ方法』は、無限とも言える広がりを見せているわけです。

『クライアントの依頼があって撮影するのがプロ、自己満足で撮ってるのはアマ』
『ミラーレスカメラなんぞ使っているのは所詮アマチュア』
『ネットの小遣い稼ぎの延長なんてプロとは呼べない』

…などなど、古臭い価値観でプロ・アマを定義する人もまだまだ多いですが、いくら吠えようとも稼げている人間がいるという現実は変わりません。

もはやプロ・アマの違いはカメラの種類や撮影技術によるものではなく、「いかにして写真を収益に繋げるか」というスキルの差になってきています。カメラマン=職人という時代は終わってしまっているのです。ココにこだわりすぎている写真撮りが多すぎる気がします。

カメラでプロ・アマは決まらない

30年前であれば写ルンですを持って「僕はプロカメラマンです!」なんて言っていたら、笑われるのを通り越してそりゃもう可哀想な目で見られた事でしょう(笑)

ではもし、写ルンですを使って月収30万程度を稼ぐ人がいたならばどうだったでしょう(そんのありえない、という決めつけは無しとして)

おそらくこれもまた「何を使ったって稼げているんだからプロだろ」と見る方もいますし「そんなのプロカメラマンとは呼べない」という方もいるでしょう。

要するにそういう事なんです。認めない人はいくら稼げていようと認めないんです。自分が持つ『プロカメラマンとしてはこうあるべきだ!』という価値観に当てはまらない人間はプロではないんです。

昔は素人カメラとされたミラーレス一眼も、今ではプロが使用するに耐える性能を備えてきました。しかし未だに『ミラーレスなんぞ使ってるヤツはアマチュア』と言い切る方はいますし、『プロならばフルサイズ一択』とこだわる方もいます。

もちろんフルサイズ一眼レフはその価格に見合った性能がありますし、それでなければ撮れないような写真はあります。

しかしプロってのは仕事、商売ですから。キヤノンやニコンの70万も80万もするカメラを持っていても、それを使って稼げなきゃただの自己満足。良いカメラを持っているアマチュア止まりです。

これは私が良く使う例えなのですが…

趣味で車を選ぶならば、好きなだけこだわりを持ってフェラーリでもポルシェでも好きな車に乗ってれば良いと思うんです。それで小さな軽自動車をバカにして悦に入るのも全然かまいません。趣味に『自己満足』『優越感』は大事な要素ですから。

しかしお得意先を回るためにフェラーリを使うのはただの無駄。農作物を運ぶためにポルシェを買うのも無駄。仕事で使うのならば何に特化しているか…が大事な要素になります。得意先回りならば燃費の良い車を使ったほうが良いですし、農作物はトラックやバンで運びましょうよ。

カメラも同じことが言えると思うのです。

昔はカメラを使って収入に繋げる手段が限られていたため、高級なフラッグシップ機は必須であったかもしれませんが…今はそれ以外の稼ぎ方がたくさんあります。

私の知人にはアイフォンを使って写真を撮り、私よりも遥かに多い収入を得ている方もいます。「そんなもん使ってプロと言えるのかよ!?」と時々笑い話にしますが、スマホならではの稼ぎ方を上手に駆使する彼は私よりも優秀なプロだと思っています。

稼ぎ方のプロ・アマ

さきほども一例を挙げましたが…今は本当に『写真で稼ぐ』という方法が無数に存在しています。

しっかりとクライアントから依頼をいただき、要求を満たす写真を撮影・編集し、提出して対価を支払ってもらう。プロカメラマンの王道とも言える稼ぎ方ですが、そういった形でなければプロではない…と言うのはあまりにも狭量すぎないでしょうか。

一昔前に『職業・旅人』なんてのが流行り、写真を撮りながら世界を旅し、それを発信することで収益としていく…なんてやり方もありました。(ただしコレは「そのノウハウを教えます」という情報商材みたいなやり口がメイン収入源ですけど)

『どんな手段を使っても稼いだもん勝ち!』とまでは言いませんが、ストックフォトだろうと自己満足のウェブ写真集だろうと、それで食えてりゃプロで良いじゃないですか。

さすがに『写真もロクに撮らず、カメラレビューで食ってる人』をプロカメラマンとは思えませんが…そこも価値観次第、本人がプロカメラマンだ!と言い張っていれば何も言う気はありません。面白い稼ぎ方もあるんだね…といった感じです。

私は昔、建築関係の仕事についていた事があるのですが、建築の世界も時代と共に変わり、長年技術を磨いた大工でなくともチョロッと建築をかじった程度の若造ですら大工として家を建てる事が可能になりました。

古くから大工として働く年配者の中には、送られてきた材料をまるでプラモデルのように組み合わせるだけで建っていく家に対し「あんなもん家じゃねぇ」と語り、自らの技術に誇りを持っている方もいましたが…世間から見りゃそれも立派な家なんです。

写真だけに留まらずどんな仕事であれ時代による変化があり、稼ぎ方の変化がある。そこを認めるか認めないかは個人の自由ではありますが、視野の狭さに気づいていないのは自分だけ…というのは悲しいではないですか。

プロ・アマの定義

…というわけで、何をもってプロ・アマと定義すれば良いのか。

一般的な常識で考えれば『それでご飯が食える人がプロ』『趣味もしくは小遣い程度ならばアマ』です。それ以外ありません。しかしなぜか写真・カメラに関しては機材や稼ぎ方でプロ・アマを定義しようとする人が多すぎる。

独善的な人が多い世界なんですよね、写真って。『私がこう言っているのだから、それが正しい。異論は認めない』といった感じの方が多く見受けられます。

いちいちそういう人達の意見を気にして「自分はプロと言って良いのだろうか…」などとネットで検索しているほうがアホ臭いですよ。そんな事気にするくらいならば、1枚でも多く写真を撮ってきたほうが有益です。

画家だって、食えない画家・売れない画家は存在します。じゃあその方たちは画家じゃないのかと言われれば、立派な画家です。まだ目が出ないだけです。永遠に目が出ないことも多いですけど(笑)

本気でやっていれば収入が少なくとも『写真家』『カメラマン』を名乗れば良いだけですし、それに対して異論を唱える人を避ける事はできません。どんな手段を用いようともそれで収益が増えて暮らせるようになったら『プロ写真家』『プロカメラマン』を名乗れば良いではないですか。それだって異論を唱えてくる人は必ずどこかにいます。

「人から認められてこそプロ」ではありますが、その認められるべき相手は同業者や同じ趣味を持つ人間ではありませんから。

どうでも良い話ですが、私はOLYMPUSのOM-D E-M1 MarkⅡを使用しています。20万円足らずのコンパクトなミラーレスです。しかも何かと馬鹿にされるマイクロフォーサーズです。

しかし私はプロを名乗っています。それで収益を得、家族を養っているからです。養えるほど稼げていいない頃は単に『写真家』を名乗り、名刺にもそう記していました。

私のようなスタイルを認めない方は多くいるでしょうし、そのカメラを見ただけでアマチュアと決めつける方もいます。デカくてゴツいカメラを抱えたアマチュアでさえこちらを見下すような態度をとってくる事はあります。しかしそんなの全然気にしません…

…なんて言うわけないじゃないですかっ!そりゃ嫌ですよ、気にしますよ、腹も立ちますし反論もしたくなりますよっ!

しかし私が稼ぐためには一眼レフでもフルサイズミラーレスでもなく、このカメラが最適解なんです。

「くそうっ!小さくて安いカメラとバカにしやがって!」と半べそかきながら、ひたすら自分のスタイルで仕事を続けるのみです。

写真家・カメラマンのプロ・アマ/あとがき

何を使おうとも、どんな手段を用いようとも、本気でやっていれば「写真家」であり「カメラマン」を名乗って良い。

何を使おうとも、どんな手段であろうとも、稼げて食えていれば「プロ写真家」であり「プロカメラマン」と名乗って良い。

…というのが私の持論です。ええ、そうです。

完全に自己弁護です(笑)

しかしみんなそうじゃないですか。

古くからのスタイルでやってきた方は今の新しいスタイルを否定しますし、新しく入ってきた人は古い考え方を批判する。フルサイズを持っている人はマイクロフォーサーズを見下しますし、マイクロフォーサーズ持ちはその利便性を熱弁したがります。

みんなそれぞれがそれぞれの立場を自己弁護しているだけです。

全ての人間に好かれる事はできませんし、全ての人間に同意してもらう事もできません。自分の中に「これだ!」という信念があれば、それで良いのだと思います。ただしそれを他人にまで認めさせようとするのは迷惑行為ですけど…。

おそらくこれを読み、私に対してアレコレと理屈をこねて否定したい気分が湧き上がってきた方もいるでしょう。お互い様ですよ、私もおそらくそういった方の持論を読めば否定したくなりますから(笑)

お互いに人は人、自分は自分でやっていこうじゃありませんか。そんな事よりも、カメラや写真に関して素人くさいバカ話をしているほうが私は好きです。

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