オリンパス製コンパクトデジタルカメラ『STYLUS SH-1』『STYLUS SH-2』『STYLUS SH-3』の違いについて、簡潔明瞭に比較説明を。
2014年オリンパスより『上質な高性能コンパクトカメラ』として発売された『STYLUS SH-1』、その翌年2015年に『SH-2』、さらに2016年には『SH-3』と続けざまに後継機が発売されるものの、外観・スペックはほぼほぼ同一・・・。
いったいドコがどう違うの!?と疑問を持っている方も多いと思いますので、大事なポイントに絞ってわかりやすく紹介しつつ、購入を迷っている方向けに「目的別・STYLUS SH-○、これを買うべき」もまとめてみます。
OLYMPUS STYLUS SHシリーズ
まずはシリーズ一号機となる『STYLUS SH-1』についてざっくりと。(上写真はSH-3ですが…)
発売は2014年4月でOM-D E-M10の発売の翌々月。E-M5,1,10とOM-D三兄弟が揃った直後の投入となり、画素数も同等の『1600万画素(センサーは1/2.3型CMOS)』、さらにコンパクトデジカメとしては世界初の『5軸手ぶれ補正』を搭載し、このサイズにしてなんと『35mm換算・25~600mm(24倍)』という高倍率光学ズームを搭載。
動画に関しては『1080/60PのフルHDムービー』に加えて『240コマ/秒・120コマ/秒のハイスピードムービー』の撮影が可能、Wi-Fiも搭載しています。
見た目は薄型コンデジのクセに中身はカリカリに尖った性能という、オリンパスのお家芸とも言える『軽量・コンパクト。しかし異様に高性能』を体現したコンデジとなるわけですな。それでいてセンサーサイズは普通に1/2.3型いうところも実にオリンパスらしい(笑)
SH-1/SH-2/SH-3の違い
では実に紛らわしく、差がいまいちわかりづらい『SH-1』『SH-2』『SH-3』の違いについて。
一般的に気になる部分に焦点を当てて比較すると…。
SH-1 | SH-2 | SH-3 | |
映像素子 | 1600万画素 1/2.3 CMOS | 同じ | 同じ |
液晶モニタ | 3.0型 46万ドット TFT(タッチパネル) | 同じ | 同じ |
画像処理エンジン | True Pic VII | 同じ | 同じ |
ズーム | 光学24倍 デジタル4倍 | 同じ | 同じ |
撮影モード | 夜景モード ライブコンポジット を追加 | 動画撮影に4Kを追加 | |
静止画記録 | jpegのみ | RAW可 | RAW可 |
アートフィルター | 7種類 | 7種類 | 13種類 |
本体色 | ブラック シルバー ホワイト | ブラック シルバー | ブラック シルバー |
…といった違い。
外観や基本スペックは変わらず、基本的に撮影モード等に機能を追加した形となります。「新たに製造された後継機」というよりも「本体そのままで中身だけ大型ファームアップされた」といった印象ですな。
どれを買えば良い?
現在は三機種とも全て生産終了していますが、非常に魅力的なカメラですので中古等での購入を検討している方もおられるかと。
違いが分かりづらい機種ですのでどれが自分に最も適しているのかわからず、「とりあえず新しいほうを買ったほうが良いか…いやしかし…」とモヤモヤしている方も多いことでしょう。
ご参考までに「目的別!こんなあなたはSH-○を買うべき」といった流れで、まずはSH-3から順に追っていきましょう。
SH-3を買うべき人
『動画撮影に重点を置きたい』
(要注意)
『SH-2』→『SH-3』の変更点で最も大きいと言えるのが、それまで「1920×1080」が最高画質だった動画撮影に4K(3840×2160・15fps)が加わったという点。
【静止画はカメラ、動画はビデオカメラ】という時代は終わりを告げ、現在は動画もデジタルカメラで撮影するのが主流。コンパクトで手軽に持ち出せるサイズでありながら、5軸手ぶれ補正と光学24倍ズームを装備した本機は動画用としても高性能ですので、少しでも高画質で…という方はSH-3をチョイスするのも良いでしょう。
ただし過信は禁物!4K撮影時の15fpsというフレームレートはお世辞にも滑らかとは言い難いため、用途によってはまるで役に立たない場合もあります。
『オリンパスのアートフィルターが好き』
オリンパスはカメラ設定で簡単テンプレ補正ができる【アートフィルター】が充実していることがウリの一つですが、SH-3はそれまでの7種類に加えて「ライトトーン」「クロスプロセス」「ジェントルセピア」「リーニュクレール」「ウォーターカラー」「ヴィンテージ」が追加。
特に「クロスプロセス」は独創的な写真、「ジェントルセピア」は味わいのあるセピア、「ヴィンテージ」はノスタルジックな表現ができるため、アートフィルターを多様する方にはオススメ。
『微妙でも外観にこだわりたい』
外観に関して『SH-1』と『SH-2』はもはや同一ですが、『SH-3』だけはすぐに判別できる違いあり。それは…

おわかりになります?
モードダイヤルにローレット加工が施され、高級感溢れる仕上がりに変わっています(笑)
この極々些細な違いにこだわりたいという奇特な方はSH-3一択です。
SH-2を買うべき人
『RAW撮影がしたい』
『SH-1』はJPEGのみだったのに対し、『SH-2』からはRAW撮影が可能。作品作りにも対応できる仕様となっており、じっくり追い込んで現像したい方はSH-2以降を購入する必要があります。
ただしセンサーはコンデジらしく1/2.3型CMOSですので、これも過信は禁物。あくまで趣味の範疇での作品作りとはなってしまいますが、いざという時にRAWで撮っておけるというのは大きいメリットです。
『比較明合成がしたい』
『SH-1』にも「手持ち夜景モード」という撮影モードはありますが、『SH-2』ではさらに「夜景キャプチャー」というモードが加わり、ライブコンポジット撮影も可能に。
ライブコンポジットとはいわゆる「インターバル撮影と比較明合成をドッキングさせた機能」で、呼び名は違えど他メーカーでも同様の機能はあり。いわゆる「星の軌跡をぐるんぐるん回した写真」や「多数の花火を合成したような写真」が撮れる機能になります。
OM-Dシリーズのライブコンポジット機能と比べれば劣りはするものの、胸ポケットに入るサイズのコンデジとしては十分楽しめる機能として成立しています。
SH-1を買うべき人
『ホワイトモデルが欲しい』
SH-2以降はブラック・シルバーの二色展開ですが、なぜかSH-1には「ホワイト」のカラーリングが。

性能的にはさほど差ががありませんので、色で決めたい方でホワイトが良いならばSH-1で良いでしょう。
ただし!お察しの通り非常に品薄、中古でも強気の価格設定になっているので覚悟を。
『RAWで撮らない。動画もこだわらない』
JPEGでしか撮影せず、動画も特に重視しないのであれば『SH-2』『SH-3』を選択する意味は薄くなります。ライブコンポジットやアートフィルターなどの独自の機能も、使う気がなければ無意味。
コンディションさえ問題ないのであれば少しでも安い『SH-1』が良いでしょう。
STYLUS SHシリーズの違い・まとめ
最初にも書きましたが、『SH-1』『SH-2』『SH-3』の違いはもはや「同一機でファームアップされただけ」といっても過言ではありません。
ぶっちゃけ個人的には
迷ったらSH-2を選べばOK
…だと思っています。
SH-1を選ばない理由は『RAW撮影ができない』、そしてSH-3まで必要ないと思う理由は『4K動画といっても15fpsでは意味がない』から。
さすがにガチの作品作りに使用することはないでしょうが、ちょっとしたスナップでも後からじっくり煮詰める事ができる利点は非常に大きい。そして発売当時は良かったかもしれませんが、現在はいくら4Kと言えどもスマホにも劣る15fpsでは美しさを全く感じません(スマホは30fpsが主流。機種によっては60fpsも)。
ことSH-3に関してはオリンパスの悪いクセとも言える「無駄に迷走した後継機を発売してしまう」が出てしまった気がしますなぁ。
(近年ではOLYMPUS E-M1 MarkⅢ。アレはもはや後継機とは呼べず)
…というわけで私は先日、お遊び用カメラとして『STYLUS SH-2』を購入しました。
5年以上前の機種とは思えない性能ではありますが、正直OM-D E-Mシリーズと比べりゃピントは甘すぎで全体的にヌルい。吐き出す画も雲泥の差。
ぶっちゃけ型落ちのE-M10でも買ったほうが良かったのでは…と思ったりもしましたが、まぁ良いでしょう。手軽さがウリのコンデジですからな、コレは。