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2020年6月にカメラ業界ならびにカメラファンを震撼させた『オリンパス、映像事業譲渡』の報。オリンパス機を愛用しメシを喰っている私としても「ついに来るべき時が来てしまったか…」といった印象でした。

そして当初の告知通り、先日2020年10月1日には『譲渡契約完了』との知らせが。着々と『OLYMPUS』のブランドが消えていく動きが進んでおります。

先日も『オリンパスの今後は期待できる!カメラ事業撤退を前向きに考える』という記事を書きましたが、それからアレコレ考えているうち、さらに「あれ?もしかして本当に影響ないのでは?」と思えてきたりも。今回はそんな戯言になります。

オリンパスの今後は期待できる!カメラ事業撤退を前向きに考える

2020年6月末、世界中のカメラユーザーに衝撃を与えた『オリンパス、映像事業を売却』のニュース。分社化・譲渡とはいえ、実質上オリンパスは80年以上継続してきたカメラ…

趣味であれば悲報。しかし…

ちょっと冷静に考えてみましょう。あなたがオリンパスを愛用してきた理由はなんですか?

オリンパスというブランドネーム?それともOLYMPUSのロゴのカッコ良さ?

そしてあなたは「カメラ好き」ですか?それとも「写真好き」ですか?

「カメラ好き」であれば今回の騒動はこの上ない悲報でしょう。なにせあなたのカメラから素敵な『OLYMPUS』のロゴは消えてしまうのですから。
(現在所有しているカメラまでロゴが消えてしまうわけではありませんけど)

そんな『趣味でオリンパスを愛用してきた方』は残されたオリンパス機を抱きながら好きなだけ嘆きましょう。なんなら私の胸をお貸ししますよ(女性限定)。

しかし単なるカメラ好きでないのならば、なにより大事なのはその機材が吐き出してくる画のはず。

カメラは自分が目指している表現を生み出すための道具です。メーカー所属のプロでない限り、「自分がどんな表現をしたいのか」によってメーカーやマウント、機材を選ぶのが本来の姿。

もしあなたが『OLYMPUS機の携行性や表現』が好きで愛用してきたのならば、心配するべきポイントは『OLYMPUSというブランドが無くなる』ではなく、今後の製品展開のほうでしょう。

極端な話、私のカメラから『OLYMPUS』のロゴが消えたところで私の表現や仕事スタイルは変わりませんし、撮影手段も変わりません。ペンタ部に『OLYMPUS』と書かれていようと『OPPAI』と書かれていようと、よくよく考えてみりゃ気分以外は何も変わらないのです。

それよりも痛いのは現在使用しているシステムが終了してしまうこと。

今後、OM-Dシリーズ展開されなくなる。オリンパス純正の流れを引き続ぐマイクロフォーサーズレンズ展開がなくなる。もしくは大きく性質が変わってしまう。それが最も困ります。

はばたけ(元)オリンパス開発者!

私は偉そうに「はばたけ!」なんて言える立場ではありませんが、カメラ開発・販売に関わっていたオリンパスの方々はここ数年そりゃもう大変な時代だったでしょう。

医療機器部品メーカーにシフトしていくオリンパスにおいて、赤字続きで苦戦の映像事業。しかも社長交代でさらに「カメラ事業は重要視しません」の空気が強まっていましたから。

「少ない予算で黒字にしろ」と言われたって、カメラ業界に逆風吹くこのご時世、無理なものは無理。ここ最近オリンパスが展開してきた新製品は完全に迷走していましたし、今年発売されたOM-D E-M1 MarkⅢに至っては苦肉の策にもほどがある仕様。開発&販売に携わる方の苦渋の決断が伝わってくるような製品でした。

しかし、これからはもう大手を振って『カメラ開発』に専念できるのです。

オリンパスから新会社に移る従業員がどれほどいるのかも不明ですし、経済的な体力もオリンパス時代とは大きく異なってくるでしょう。しかし『大企業のいち事業部』から『純然たるカメラメーカー』に変わる(と思われる)のです。

大手焼き鳥チェーン店でグチグチと売上の事を言われながら店長をやってきたのが、心機一転独立して個人の焼き鳥屋をオープンさせるようなもんですよ。かけられる金もブランドネームも大幅ダウンではありますが、これからは存分にアイデアを生かした焼き鳥を販売していけるんですよ。

…まぁそんな単純な話ではないですけど(笑)

譲渡されても当面問題はない

…ということで、今回の『OLYMPUSの映像事業事業譲渡』、発表直後こそ目の前が真っ暗になりましたが、あらためてじっくり考えてみると『OLYMPUSのロゴに対する変なこだわりさえ捨てれば、あとは信じて使い続けて当面問題はない』という結論で私の中では落ち着いてきました。

本当に嘆くのは新会社がマイクロフォーサーズを捨てる決断をした時です。私が求める表現にはマイクロフォーサーズシステムが最も相性良いですから。

しかし新会社としてはおそらく「今抱えているオリンパス時代からのユーザー(のお財布)を財源としつつ、その他の努力で黒字に転換させる」が当面の体制だと思いますので、もしマイクロフォーサーズから撤退するとしても早くとも数年先でしょう。

その頃までに万が一に備えてお金を貯めておけば大丈夫。

強いて懸念を挙げるとすれば、サードパーティ製のレンズやアクセサリー等でオリンパス(元オリンパス)未対応の製品が増えると予想される事ですかね。これまでもキヤノン、ニコン、ソニーがデフォルト、そこに追加でオリンパスやフジ対応…といった感じでしたから。ペンタックス使いの苦悩を共有できる日が来るかもしれません(笑)