2020年6月末、世界中のカメラユーザーに衝撃を与えた『オリンパス、映像事業を売却』のニュース。分社化・譲渡とはいえ、実質上オリンパスは80年以上継続してきたカメラ事業から撤退することになります。
これに関しては多くのニュースサイトやカメラブログで取り沙汰され、譲渡先である日本産業パートナーズに関する情報も含めて掘り下げられまくっていますので…
今回は『むしろオリンパス機の未来は明るいじゃないか』というポジティブな切り口で、小難しい話抜きのゆるーい戯言を垂れ流してみたいと思います。
ざっくり事の顛末
小難しい話抜き…と言いましたが、ざっくりと『オリンパス・映像事業売却』に関する現在の状況を確認しておきましょう。
現状
・オリンパスは映像事業を分社化。日本産業パートナーズに譲渡する。
・今後も新製品の開発・販売、既存製品のサポートは継続していく。
・当面は『OLYMPUS』のロゴは継続。しかし将来的には使用不能に。
100%確定しているのは一番上の「カメラ事業分社化→譲渡』のみ。
新製品の開発・販売に関しては現在のところ継続しているような動き(レンズロードマップやOM-D E-M10 MarkⅣ発表など)を見せていますが、とにかく今は「譲渡するまでユーザーを逃さない」という事に必死なはずですから、OLYMPUS時代の約束が今後も継続されていくという保証はありません。
サポートに関しても「どの程度」のものを「いつまで」とは明言されていませんので、サービスが低下する可能性は否めない。
ブランドネームとして『OM-D』や『PEN』などは継承できるものの、『OLYMPUS』は社名なので譲渡後の製品に冠することは不可能。いずれ新製品から『OLYMPUS』の文字が消えるのはほぼ確定です。
ポジティブにとか言っておきながら、将来不安になるような話ばかりですな…。
今後のカメラ展開は?
まずオリンパスユーザーとして最も気になるのが…
今後の新製品はどうなるの!?
…というところでしょう。これに関しては全て憶測の域を出ませんが、逆に前向きに捉える事も可能ではないかと。
世のオリンパス使いの方々に聞きたいのですが、ぶっちゃけ近年のオリンパスから送り出される新製品はどうでしたか?私はもう「これじゃない」の嵐で…。
- 軽量・コンパクトを売りとしていながら、異形の弁当箱『OM-D E-M1X』を発表。しかも「プロの現場で持ちやすいサイズになりました」などと困惑のアピールまで。
- OM-D E-M5 MarkⅢはまさかのプラスチックボディ。
- E-M1Xで一度肩透かしをくらったフラッグシップ派待望のOM-D E-M1 MarkⅢは「ほぼほぼMarkⅡ」というやる気の無さ。
E-M1 MarkⅡを愛用している私としては「E-M1X→E-M1 MarkⅢ」のフラッグシップがっかりコンボには失望すら感じました…。
しかしこれらは仕方ないと言えば仕方ないこと。数年前からすでにカメラ事業切り離しの噂は立っていましたし、新製品の開発に予算をつぎ込めない事情もあったことでしょう。
さらに2019年4月、新社長に就任した竹内康雄氏はカメラ事業に関してあまり良い顔をせず、ユーザーを不安にさせるような発言を連発していたお方。
結局ここ数年のオリンパスがカメラ事業に対してやっていたことは「いつか訪れるであろう売却までの間、ユーザーを逃さないようにお茶を濁していた」ということでしょう。金も理解もない、さらに将来もわからないという環境で革新的な製品を生み出せと言われたって、そりゃ無理ってもんです。
昔から『オリンパスはモノ作りは上手。しかし販売が下手くそ』と言われています。
他メーカーが一眼レフにこだわる中、オリンパスは当時まだ欠点ばかりが目立つミラーレス機に注力。その後ソニーの躍進からシェアがひっくり返るほどのミラーレス時代に突入したものの…オリンパスは先んじていたアドバンテージを活かせず追いつかれ、さらに追い抜かれる始末。
マイクロフォーサーズというセンサーサイズに関しても、モタモタしている間に世間に「時代はフルサイズ一択」の流れを許してしまった。
今回の譲渡によって赤字経営から黒字に転換させるためには、こういった「オリンパスという会社が持つ体質」は改善されなければならないでしょう。
いえ、むしろそうでなければ譲渡される側(日本産業パートナーズ)も、その後の売却先(未定)も、映像事業を引き継ぐ意味が無い。
今後はこれまでオリンパスという柵の中では開発できなかった革新的な製品が、絶妙な販売手法で送り出されてくる…という可能性は大いにあると思うのです。
ブランド名は?
オリンパスからOLYMPUSが無くなったらオリンパスじゃないやい!
…とお嘆きの方も多いと思いますが、私もその一人です。オリンパスは他メーカーに比べて『OLYMPUS』というブランドそのものにこだわりがあるユーザーが多いですから。
しかし遅かれ早かれ『OLYMPUS』は使えなくなるのは確定事項。同じく日本産業パートナーズが過去に再建を手掛けたソニーのパソコン事業は商品名である『Vaio』の名で継続され、『SONY』は消えました。
新会社名もしくは新ブランド名は?…という話題で圧倒的に希望者が多いのが『ZUIKO』のようです。たしかにオリンパスの歴史を語る上で瑞光という名は欠かせない。
私個人としては変に別ブランド名が入るよりも『OM-D』をペンタ部に押してくれるだけで満足なのですが、そうもいかないでしょうし…。
とりあえず「これじゃない感」はもうコリゴリですので、極力ガッカリしないものに変わって欲しいものです。
マイクロフォーサーズは?
スマホの台頭により素人ユーザー向けのコンデジ市場はほぼ陥落。しかしまだまだスマホカメラ進化の勢いは衰えず、次はそのまま一眼・ミラーレスのエントリーモデルがターゲットとなりつつあります。
一般人はわざわざ十万も払ってカメラを買わなくとも、スマホを使えば十分…というわけです。
もちろんエントリーモデルとは言えスマホと比べれば雲泥の差なのですが、その違いにこだわる写真撮りならばなおさらエントリーモデルは購入しないでしょう。
カメラという道具ははより一層プロユースの傾向性が強くなり、ユーザーからメーカーに対する要望もハイレベルになっています。
そう考えると、マイクロフォーサーズというセンサーサイズは非常に危うい。
もちろんマイクロフォーサーズならではの強みはあるのですが、なにせオリンパスのユーザーは『一部のカメラ女子』と『一部のプロ』を除き…
『大多数が小金持ちのアマチュア(ハイアマ含む)』
ですから(笑)
オリンパスの撮影会に参加すると若者からお爺ちゃんまで『とりあえず大三元』ですもの。
「フルサイズ!フルサイズ!」と騒ぎ立てる人間が多い状況で、世間の風潮もフルサイズ主流、最低でもAPS-Cという流れになっている中、「今後もマイクロフォーサーズに専念していきます」は勇気のいる選択。
マイクロフォーサーズ最大の強みでもあった軽量・コンパクトという利点も他メーカーがミラーレス機を進化させるに従って薄れてきましたし、もうひとつの強みでもあった「複数メーカー共通規格」という点も最大の盟友がPanasonicという時点で危うい。日に日にライカちゃんと距離を縮め、いつマイクロフォーサーズを切り捨ててもおかしくない雰囲気ですから。
カメラ事業撤退が決定した今となっては、PanasonicにとってOLYMPUSは「死んだ元カレ」みたいなもんでしょう。
…しかし、他メーカーのように複数マウントを並行展開していないオリンパスにとってセンサーサイズ変更・マウント変更は危険な賭けでもあり、企業側にとっても莫大なエネルギーが必要。
赤字経営で売却される組織にそこまでのエネルギーがあるか…と考えれば、今すぐのフルサイズ移行はむしろありえない。複数マウントの並行展開も難しいでしょう。
少なくとも『日本産業パートナーズに譲渡』→『黒字に転換』→『売却もしくは独立企業化』まではマイクロフォーサーズは生き続けるのではないかと。
その間にマイクロフォーサーズの存在意義を確立することができれば、このセンサーサイズは時代遅れの消えゆくモノではなくなるかもしれません。オリンパスはなによりそこが下手でしたから。
個人的には…
私は現在、OM-D E-M1 MarkⅡx2を使用して仕事をしています。
いずれこういう日が来るだろう…とは覚悟してはいましたが、やはりショックは隠せず。これを機にメーカー変更するべきか…と悩み、キヤノンのR5購入を検討していました。
…が、まだ早い。
もしかしたら今後オリンパス(の名ではないが)から「これを待っていた!」という機種が送り出されてくる可能性は十分にあるじゃないですか。
それを見てから移行しても遅くはない。…かな?いや、ちょっと遅いかもしれませんけど…。
おそらく私と同じような心持ちのオリンパスユーザーも多くいることでしょう。
今すぐオリンパスに見切りをつけない以上、せめてポジティブに考えながら今後を見守りたい…という事で勝手な見解を垂れ流させていただきました。異論もあるかと思いますが、いちオリンパスユーザーの戯言として聞き流していただければ幸いです。
それにしても…
もうE-M1 MarkⅡでは騙し騙し使っている感があるので、次こそ逆転満塁ホームラン級のフラッグシップ機が登場して欲しいですなぁ。