【当ページには広告が含まれています】

ついに決定したOLYMPUSのカメラ事業売却。マイクロフォーサーズ軍団筆頭の脱落に、マイクロフォーサーズの今後・将来性に疑問を感じ始めた方も多い事かと。私も常々「堂々とマイクロフォーサーズを誇ろう!」などと謳っておきながら、さすがに今回は…。

…という事で、良い機会ですから冷静になって『マイクロフォーサーズを使い続ける意味があるのか?』という点を考えてみようかと。

ところが改めて考えてみると意外な疑問が湧いてしまったりするわけです…。

マイクロフォーサーズの利点と欠点

マイクロフォーサーズ

まず世間でよく聞くマイクロフォーサーズの利点と欠点として…

利点

・軽量コンパクトなシステム

・m4/3の100mmは35mm換算200mm。望遠で焦点距離が稼げる。つまり望遠レンズも軽量コンパクト。

・被写界深度が深い。

・フルサイズに比べ、手ブレ補正の効きが良い

…と、『軽量コンパクト』を最大の利点としながら他にもメリットあり。しかしこの「その他」の部分は果たしてマイクロフォーサーズならではの利点なのか…と。

被写界深度に関しては絞れば済む話じゃないですか。暗くなるならストロボ焚けば良いじゃないですか。後述する「マイクロフォーサーズだからこそ!」というシチュエーションもありますが、かなり状況が限られますし。

そして手ブレ補正。たしかにOM-D E-M1X+ISレンズなどはバケモンじみた手ブレ補正能力を発揮しているものの、最近は他メーカーも技術進歩によりかなり追いついてきています。

私はOLYMPUS使いなので、強烈なセンサーダスト除去・強烈な防塵防滴性能にも魅力を感じていますが、そこはOLYMPUS独自の部分なので含めず。ではよく言われる欠点は…

欠点

・センサーが小さいので画質はお察し

・高感度耐性がすこぶる弱い(ISOをガンガン上げられない)

・被写界深度が深いせいでボケにくい

画質高感度耐性ボケ

フルサイズ持ちから散々指摘される、耳にタコの欠点です。

「フルサイズとマイクロフォーサーズの画質の差なんて、引き伸ばすか拡大するかしなければ見分けがつかないのだよ!」と鼻息を荒くしてみても、決して『マイクロフォーサーズのほうが良い』って話ではありません。あくまでも「バレなきゃ問題ないでしょ」って話です。

これらの欠点のどれもが、フルサイズを使えば済む話なんですよね。

じゃあなぜそこまでしてマイクロフォーサーズを使うのかと問われれば、

軽量コンパクト

これにつきるわけです。私のようにフル装備で延々と山を歩き続けるようなスタイルでは、「軽さ=シャッターチャンス」になりますから。

しかし、ひょんなことからココに疑問を感じてしまったわけです…。

きっかけは『RICOH GR Ⅲ』

先日、OLYMPUSは『OM-D E-M10 MarkⅣ』を発表しました。
OLYMPUS公式サイト:OM-D E-M10 Markⅳ

ちょうど「フラッと出かける時に持ち歩くコンパクトなカメラを新調しよう」と思っていた矢先の情報で、食指がピクピク。E-M10+14-42mm EZ(パンケーキ)ならば遊び撮りにも悪くないサイズ感です。
(現在のお出かけカメラはE-M5 MarkⅡ+14-42mm EZ)

しかしこの情報を聞くまでは、こっちが気になっていたんですよ。

リコーのGR3。APS-CセンサーでF2.8レンズのハイスペックコンデジになります。プロカメラマンの知人が激推ししていたので。

しかしせっかくOLYMPUSが新型を出すのですし、オリンパス使いとしてはやはりE-M10 MarkⅣを買ったほうが良いじゃないですか。そっちのほうが色々とメリットもありますし……あれ?メリット?…どこに?

GRと比較するとE-M10を買うメリット、全く無くない?

『軽量コンパクト』
→GRのほうが軽量コンパクト

『望遠で焦点距離が稼げる』
→望遠を使う気はない

『被写界深度が深い』
→さほど変わらない

『手ブレ補正が効く』
→この焦点距離ならば過剰な手ブレ補正は不要

『EVFがある』
→たしかにあったほうが画が練れる…が、そこまで本気じゃないから無くとも良い

…と、ことごとくOM-Dの利点が不発。もう『レンズ交換できるよ』というところぐらいしか思い当たりません。しかしポン撮り用なのだからレンズ交換なんぞする気はありません。しかもGRのほうがセンサーサイズ「だけ」で見れば大きい。…あれ?

今はもうプロも含めて一眼レフからミラーレスに移行してきていますので、『ボディの軽量コンパクトさ』特にマイクロフォーサーズだけが特化した話ではありません。差は『レンズの軽量コンパクトさ』にあるわけです。しかしレンズ交換、特に望遠レンズは不要となれば…システム重量とサイズに関してのマイクロフォーサーズの利点は薄い。

もちろん細かいスペックや機能ではE-M10が勝っている部分もあります。しかしそもそもE-M10は「スマホよりもちょっと上質な写真が撮りたいアマチュア向け」の入門機。オリンパスお得意のライトユーザー向けの機種なわけですよ。

この『軽量コンパクト!女性やライトユーザーにも優しく使いやすい!』のウリって、同価格帯のハイスペックコンデジを使えば済む話じゃないですか?

…なんて思ってしまったわけです。

そもそもレンズ交換式のミラーレスカメラとコンパクトデジタルカメラを比較する事自体ナンセンスなんですけどね(汗)

さよならオリンパス?

というわけで、お手軽カメラはリコーのGRⅢを買う事に決めてしまいました。

そしてその勢いで今現在仕事で使用しているOM-D E-M1 MarkⅡ(x2台)に対しても「果たしてこのご時世、マイクロフォーサーズにしがみつく意味はあるのか?」と疑問を感じてしまったわけです。

マイクロフォーサーズ最大のウリである軽量コンパクト。

オリンパスはそこを突き詰めきれず、「大きくて持ちやすいサイズです!」などと自己否定に近い事を言いながらプロ向けにE-M1Xを送り出してきました。「大きくて持ちやすくて助かる~」なんてセリフ、プロでありながらオリンパスを選んでいる人間の何人が言います?

もっとマイクロフォーサーズならではの利点を突き詰め、一部の人間に刺さるようなトガッた進化をすべきだったのでは…と個人的には思うのです。中途半端にフルサイズを意識しすぎたのでは…と。

オリンパスはモノ作りは上手だが、売り方が下手。つくづくそう思います。こりゃカメラ事業がコケるのもやむ無し。

もちろんマイクロフォーサーズはオリンパスの専売特許ではなくPanasonicも出してはいるのですが、どうもパナって浮気性と言いますか…。あっちにもこっちにも手を出しながら必至に生き残りを模索している…という印象で、「今後もマイクロフォーサーズを大事にしてくれるだろう」という安心感は皆無。

なにやら焦点が合っていないピンボケ話になってしまいましたが、要するに…

狂信的なマイクロフォーサーズ信者だったが、ふと我に返ってみたら神に疑問を感じた。

…という他愛もない話です。

人って、自分が立っている位置で理屈を述べるじゃないですか。立ち位置が変われば理屈も変わる。政治が良い例です。

私も『マイクロフォーサーズ使い』という立ち位置に慣れすぎて、考え方が歪んでいたのかもしれません。

さてさて…まだ移行すると決定してはいませんが、万が一引っ越しするならばドコにしましょうか…。

後述すると言っていた「被写界深度が深い」でマイクロフォーサーズが有利な限定的シチュエーションの話を忘れていました。

あくまでも個人的な意見ですが、室内など光量が足りない場所ストロボが焚けない状況前後に並ぶ集合写真など、深めの被写界深度が必要な撮影では、マイクロフォーサーズに利点を感じます。

絞りたい。しかし絞ると光量が足りない。ストロボを焚けば済むが、赤ちゃんだったり動物だったりで発光させられない。

という「そんな限定的な状況、滅多にないわ!」と言われそうなシチュエーションでは、絞り開放でもパンフォーカスに近い撮影ができるマイクロフォーサーズは便利です。