カメラ女子

今回はストックフォトサービス『写真AC(PhotoAC)』について、写真撮影で副収入を得るための解説や注意点、稼ぐポイント、販売価格などをご紹介します。

以前、同じくストックフォトサービスである『PIXTA』について登録方法や審査などの説明をしました。どちらも同じく『写真を登録して販売する』という形ですが、性質は大きく異なるのでその点も詳しくご紹介します。

写真AC (PhotoAC)

写真素材無料【写真AC】

写真AC(Photo AC)主な特徴

  • 写真素材を無料でダウンロード可能(プレミム会員登録は有料)
  • クレジット表記無しで商用利用可能
  • プレミアム会員になれば各種特典あり

なにがスゴいって素材を無料で使用できるのですよ。

しかもそれをクレジット表記等無しでブログなどに使用可能。商用利用も可能。

その手軽さから登録会員数は非常に多く、法人や副業ブロガー・アフィリエイターだけでなく趣味のブロガーからも多く利用されています。

それゆえ他のストックフォトサービスとは比べ物にならないダウンロード数を見込むことができますが、そのぶん単価は激安。大量に写真を登録して枚数で稼ぐ、薄利多売系のストックフォトになります。

写真ACの注意点

では写真ACの特徴と注意点から。

写真ACは他ストックフォトサービスとは大きく異なる点が多数あります。

特に重要なのは著作権の部分です。

著作権は譲渡

これが最大の特徴にして最大のネック。

法律に関する話を詳しく書くと長くなりますし、非常に小難しい文章になってしまいますのでざっくりいきます。

他のストックフォトサービスはその大半がアップロードした写真の【著作権】は自分が保有したまま【使用権】を与えるという形になります。

「私の写真を自由に売って良いよ」という事ですな。売れたらその対価としてお金をいただきます。

しかし『写真AC (PhotoAC)』の規約では、アップロードした時点で【著作権】は写真AC側に移行します。

写真をアップロードしたことにより、会員は、写真の一切の著作権(著作権法27条及び28条の権利を含む)を弊社に譲渡し、以後、写真に関する著作権は弊社に帰属します。

写真AC利用規約・写真のアップロード[4]より

(上記「著作権法27条及び28条の権利」とは、「27条・翻訳権・翻案権」著作物に手を加えて新たな著作物・創作物を生み出すこと、「28条・二次的著作物の利用に関する権利」生み出した二次的著作物を利用する権利)

つまり…自分で撮った写真ではありますが、写真ACにアップロードした時点であなたに著作権はありません。あなたの写真を利用して写真ACが何をしようとも自由であり、文句を言う権利もありません。

ただし!一切の著作権を写真ACに譲渡していても、アップロード写真に何かしらの問題(著作権・肖像権等)があった場合の責任はこちらにあります。「著作権を譲渡したから関係ありません」は通りません。

写真をアップロードした会員は、アップロードした写真について,第三者との紛争が生じたときは、自らの責任と負担において紛争を解決するものとし、弊社に何ら迷惑をかけないものとします。また、万一、弊社に損害が生じた場合、会員は弊社に対して、ただちに弊社が被った一切の損害を賠償しなければなりません。

写真AC利用規約・写真のアップロード[9]より

なんとも虫のいい話じゃないですか。

しかし規約にそう記されており、それを読んだうえで登録する以上どうにもなりません。

なおアップロード以前に自分のブログ・SNS等で使用していた場合は削除する必要はなく、アップロード時に該当URLを申請すれば問題無し。

そして少々ややこしいのですが、写真ACでは『アップロードした素材を他のストックフォトサービスに同時登録することも問題ない』とされています。つまり写真ACと他のストックフォトサービスに同じ写真を登録しても良い…という事です。ところがココも卑怯なので要注意

写真ACに登録した作品を他のストックフォトサービスに登録するという事は、すなわち「自分に著作権のない写真をアップしている」という事になります。

基本的にストックフォトサービスというのは『自分が著作権を有している写真を登録する』というのが原則ですので、いくら写真AC側が良いと言っていても、他のストックフォト側の規則に反する可能性があります。

そして写真ACにアップしてしまった素材をフォトコンテストなどに応募することもできません。フォトコンテストも原則として、応募者が著作権を所有している作品のみ応募可能ですので。

審査は激甘

アップロードする写真のクオリティは人によって大きく変わってきますので、審査に関して一概に甘いとか厳しいとか言えるものではありませんが、個人的な感想としては、

甘すぎるにも程がある

といった印象。

写真の基本である『ピント』と『露出』さえそれなりにできていれば、構図が悪かろうが彩度が悪かろうが多少ノイズが入っていようがあっさり通過。実際にアップされている素材を見ればわかるでしょうが、素人レベルの写真でも通ります。タグに関しても呆れるようなタグ付けが通過します。

審査期間も短く大量にアップしても2~3日でポンポンと審査通過していくため、もはや「本当にチェックしてる?」と疑いたくなるようなレベル。

ただしACはロゴや著作権には過剰に反応するため、そういうったものが写り込んでいた場合は等倍で確認できないレベルでも審査落ちすることがあります。建造物系のプロパティリリースにも神経質で、全く問題のない作品でも要確認とされることもあります。

そして場合によっては全く納得いかない理由での審査落ちもあり。

特に『バランス・構図』や『ボケの使い方』に関しての審査は酷いもんで、何が気に喰わんのか知りませんが問題のない写真でも『バランスが悪い』『ピントが悪い』で審査落ちのパターンがあります。しかしそれをそのままACよりも審査の厳しいであろうPixtaやAdobe Stockに提出しても問題なく審査通過。そして普通に販売数が伸びたり。

こういう言い方はアレかもしれませんが、ぶっちゃけ写真ACは審査する人間のレベルが高いとは言えません。そして担当者によってはかなり偏執的になるようで、やたらと変な審査落ちを連発してくる時期もあります。そういう時は少し時間を空けましょう。そして同じ作品をそのまま同じタグで出せば審査通過することが多々あります。

とりあえず運営に合わせ、素人目線で普通に見れる作品を出していれば審査はほぼ100%通過。無いも同然です。

ジャンル分けに注意

写真AC(PhotoAC)は素材を投稿する際、カテゴリーを選択する必要があります。

3つまで選択できるのですが、このカテゴリー分けがあまりにも雑で寸足らず。いったいどのカテゴリーに入れて良いのか迷うような素材も出てきます。

さらにどうやらACの運営は『ビジネス』と言ったらスーツを着てネクタイを締めるようなホワイトカラーしか想像できないらしく、純粋に『職業・仕事』という意味でカテゴライズすると『不適切なカテゴリーが選択されています』とはじかれる事も。

例えば建設作業現場の写真なども『ビジネス』は不可。作業着を着た人物写真などでない限り不適切とされる事があります。

農業や漁業に関連する素材なども、『いかにも仕事です』といった雰囲気でなければ『ビジネス』は不可。

ベタな素材しか投稿しないクリエイターは悩むこともないでしょうが、多ジャンルを投稿しようとすると必ずカテゴリー分けで悩む時がきます。

タグ付けはカオス

ACはタグ付けも不可解。

前述したように、ストックフォトの常識で考えれば『これはおかしいだろ』と思うようなタグが付いていても通っている素材は多々ありますし、かと思えばどう考えても適切なタグなのに『タグが不適切』と審査落ちになることもあります。

ちなみに試しにそのまま同じタグで再審査に出してみると、なぜか審査通過したり。

さらに『クリエイター同士でカテゴリとタグの審査をさせる』というふざけたシステムがあり、ある程度続けていると他クリエイターの写真の審査をさせられます(僅かな報酬あり)。

これを見ていると他クリエイターのタグ付けの酷いこと酷いこと。『写真素材』『無料写真』なんてアホみたいなタグを付けている人もいるので、タグに関しては神経質になる必要はないかと。

そもそも本来運営側が一定の基準を持ってやるべき作業を、同業者である他クリエイターにやらせるというのはどうかと思いますなぁ。不可解な審査落ちの原因はここにありそうな気もします。

ちなみに私はこの『他のクリエイターのチェックをしてください』は一切やっていません。あまりにひどいタグ付でばかりでうんざりしてくるので。

それ以外にも、自社素材である『acworks』の名で公開されている写真が使用している手法(分割やフキダシ等)でも、こちらが同様の手法を使用すると「ストックフォトとして適切ではない」とはじかれてみたり。

他のストックフォトサービスと比べると審査基準と運営体制に疑問を感じる部分は多々あります。

『ストックフォトのタグ付け』売れるためのヒントと注意点

ストックフォトにおける『タグ付け』は、検索ヒット率や売り上げに大きく変わる大事な要素です。 売れるタグの付け方や注意点、タグ付けを楽にする方法などをご紹介します…

人物写真に注意

風景やブツ撮りだけでなく、人物モデルを含めた写真をアップできるならばそれは大きな強み。

しかし人物の写った写真を素材登録したい場合には『モデルリリース』という手続きが必要になります。

モデルリリースとは?

人物写真をアップする場合、そのモデルから『写真ACで販売することを許可します。何かあっても文句言いません。お金も請求しません』という旨の同意書に住所・氏名・捺印をいただかなければなりません(同意書は写真ACでダウンロードできます)。

個人を特定できる人物写真の場合、必ずこの書類を添付しなければなりません。

家族や友人、もしくはモデル契約した方など、本人の了承が得られる場合はしっかりとモデルリリースの書類を添付しましょう。他ストックフォトサービスでは撮影場所・撮影時期ごとに提出が必要になることもありますが、ACでは同一人物であれば毎回書いてもらう必要はありません(実はこれもかなり危険)。

しかしここでも注意点が一つ。

写真ACの規約では『後ろ姿等、個人を特定できない写真であればモデルリリースは不要』とされているものの、街でのスナップ写真など「本人が撮影されている事に気づいていないであろう写真」は、人物にスポットが当たっていれば後ろ姿だろうが覆面姿だろうが審査を通らない事が多いです。

どう見ても個人を特定できないのに『モデルリリースが必要』とされて審査オチになるのはこのパターン。

アマチュアフォトグラファーがよくやる『撮り逃げ』(カメラに気づいていない通行人を勝手に撮影し、そのまま立ち去る)の場合、モデルリリース無しでは通らないことがあるので注意。

というかそもそも撮り逃げは姑息な行為なのでやめましょう。

どのくらい稼げるの?

パソコンびっくり

写真ACの単価は非常に低いです。

クリエイターに入る金額は『1ダウンロードにつき、3円前後(条件により微差あり)』

他ストックフォトサービスでは安くても1ダウンロード数十円以上は見込めますが、ACは基本たったの3円です。

ただし、登録会員が無料でダウンロードできるという点から、他ストックフォトよりも動きは活発。

私は初めて登録した際、まず手始めに100枚ほどアップしてみたのですが、その翌日には10前後のダウンロードがありました。

では具体的に月収どのくらい稼げるのか?というと・・・

この記事を書いている時点で写真ACに登録しているクリエイター数は『約10万人』います。

私がダウンロード数ランキングで、上位1%以内となる『1000位以内』に入った頃の売り上げ金額は、月に1500円程度でした(高単価の人物写真は一切無し)。

あくまで参考程度ですが目安として。

写真ACで売れにくい写真

ここが難しいところなのですが・・・

写真AC内で検索していただくとわかるように、『サラリーマンのガッツポーズ』『お姉さんが指一本立てて、ここがポイント!』といった需要の多い写真は総ダウンロード数もかなり多いです。

しかしそういった売れ筋系写真はアップする人間も腐るほどいるため、後から参入してもむしろダウンロード数が伸びない事も。

毎日のダウンロード数ランキングをチェックすると、決まって『淡くて綺麗な青空の写真』が上位に複数ランクインしていますが、ここで「じゃあ私もガンガン綺麗な青空を撮って売ろう!!」と考えるのは危険。

空なんて見上げりゃ誰の上にもあるので、カメラがあって綺麗に晴れていれば誰でも撮れます。そういった写真はたとえ売れ筋路線であろうともダウンロード数を伸ばすのは非常に難しくなります。

現時点でNice!の多くついた人気写真に勝る自信がある方はそういった売れ筋路線で勝負をかけても良いとは思うのですが・・・あなたと同じように考え、同じような写真をアップする人もたくさんいるという事をお忘れなく。

写真ACで売れやすい写真

じゃあ何が売れやすいの?という事になると…

写真ACは著作権譲渡という部分がありますので、人物写真に関しては他のストックフォトサービスよりも強力なライバルは少ないです。ただし「比べれば少ない」というだけで、ハイクオリティな人物写真をガンガン投入してくるクリエイターは数多くいます。(他のストックフォトサービスはそれ以上にいる、という事)

人物写真にはモデルリリースというハードルがありますので、その中に混ざって人物写真で勝負できるならばそれは有利。なお人物写真はダウンロード単価も高くなります(1ダウンロードにつき約5~10円)。

もし今から「写真ACを始めてみよう!」という方でそれなりにダウンロード数を稼ぎたいと思うのならば、まずは人物写真であろうとそれ以外の写真であろうと…『ライバルの少ない写真で勝負』が良いかと。さきほども述べましたが、似たような作品が大量にあるとよほど目を引かない限りダウンロード数は伸びません。

自分で写真AC内の検索を使い、競合写真が少ないワードを見つけて投稿するのが有効です。

サイト内でダウンロード会員からの素材リクエストや、現在のダウンロード上位ワードなども確認できますので、その時々に応じて臨機応変に作品をアップすることができればさらに反応が違ってきます。

簡単には撮れない状況の写真(山の奥地や、海外など)もライバルが少なくダウンロード数を伸ばす事ができます。

もしあなたが珍しい職種に就いているのであれば、仕事の道具や風景などをアップする事も効果的。とにかく『人と違う写真(撮れない写真・撮らない写真)』を意識する事が有効です。

そしてこれは自分の作品の目安を知るコツですが、『ランキング』のタグから『写真総数』と『ダウンロード数』を比較してみるのが良いです。

例えば写真総数は『5000位』なのにダウンロード数が『5000位以下』なのであれば、あなたの作品は魅力が無いということ。逆に写真総数が『3000位』でダウンロード数が『2000位』ならば、あなたの作品は他のクリエイターよりも魅力的ということ。上位を喰っていけるということです。

写真AC (PhotoAC)で稼ぐ方法・まとめ

写真ACはダウンロードする側から見ても作品を投稿するクリエイター側から見ても、非常にライトな感覚で使えるストックフォトサービスになります。

利用者も1枚1枚に金銭を支払う必要がないので「とりあえずダウンロードしておくか」と気軽に利用してくれますし、投稿者としても審査が緩いので「とりあえずこれもアップしておくか」と気軽に投稿できます。

写真ACに向いている人

・写真を撮るのが好き。人よりも多くの作品をアップできる。

・自分の作品が少しでもお金になれば満足

・著作権は放棄してもかまわない

・カメラは持っていないけど、スマホでもストックフォトを始めたい

とにかく審査が甘く、アップロード上限が無いのでガンガン写真をアップして数で勝負。というか、ある程度の素材数を抱えないとほぼ収入に繋がりません。

ただし他のストックフォトサービスに比べると運営側の質が良いとは思えませんので、あまりのめり込まず適当にぽんぽん撮ってぽいぽいアップし、いつの間にかお小遣いが貯まってりゃ儲け…といったノリがよろしいかと。

くれぐれも著作権譲渡の部分だけは忘れずに。「もう捨てても良い」「自分の写真じゃなくなっても良い」、そう思える写真のみアップロードするのが精神衛生的にも良いと思います。

私の場合、撮影してきた写真の中で『他社ストックフォト』として使用できないレベルものは現像ソフトのテンプレート処理で焼き、写真ACにアップロード。そしてPCからは削除。そういった使い方をしています。

言い方は悪いですが、いわば『小銭を生むゴミ箱』です。

なにせ著作権譲渡ですからね。しかも1枚10円以下で、なおかつ運営の質も良いとは言い難い。ぶっちゃけそこまで労力を費やす気にはなれませんよ。

それでも審査は通りますし、とりあえず『写真でお小遣い稼ぎ』を試してみたい方など、ストックフォトとはどんな感じなのかを知るためには手軽なサービスだと思います。

写真ACを始めようか迷っている方も、これから始めようと思っている方も、まずはダウンロード会員として登録してみてはいかがでしょうか。

どういった写真が多く目につくのか、他にどんな写真が並んでいるのか…ダウンロードする側として見る事で作品作りのヒントになったりしますぞ。

写真素材素材【写真AC】

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