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最近SNS等、特にInstagramで目にする「写真は無加工です!」といった言葉。うーむ、加工・・加工ねぇ・・・。

フィルムからデジタルの時代と移り変わり、『撮ったら現像』という工程も、RAW現像、レタッチ、編集、加工、補正、などなど・・・統一性のない言葉でぐっちゃぐちゃ。

今回はそれら『デジタル写真の仕上げ』についての戯言。いつもの如く、あくまで個人の勝手な見解の垂れ流しです。

デジタル写真で無加工?

まず一番最初に。

今回はこれを言いたいがために戯言を垂れ流しているわけですが、

デジタルで撮影しておいて『無加工です』ってアホなの?

と言いたい。言いまくりたい。

おそらくそういう方は『JPEG(jpg)撮って出し』の事を『無加工』と呼んでいるのでしょうが、そもそもそのJPEG画像は

①シャッター押して撮影
(RAW)
 ↓
②カメラ設定等に合わせて変換
(JPEG)
 ↓
③余計なデータを切り捨てて小サイズ化
 ↓
④出来上がり

…という流れで出てきているのですぞ。

RAWで撮ってくる場合は②から下を自分で細かく調整しながらやっているだけ。要するに「無加工です!」と誇っている写真は、目に見えない場所でオート加工してもらっているだけの話。

二世タレントが「自分の力だけでやってきました!」と誇っているが、実は見えないトコで親がアレコレと世話を焼いていた…と同じですな。

単なるスマホカメラだとしても、画像をデジタル処理している以上は本当の意味での『無加工』とは言えません。

『撮って出しです』なら全く問題ないのですが、デジタル撮影の写真で『加工・無加工』という言葉を使ってること自体がアホですよ、と。

写真加工の是非

カメラのデジタル化、そして技術の進歩に合わせ、Photoshop等のRAW現像ソフトも『レタッチソフト』と呼ばれるようになってきました。

RAW画像からバランスを整え、JPEG画像として仕上げる。その工程の幅が広がりすぎなほどに広がり、果ては不要なものを消したり空をまるごと挿げ替えたり・・・。

それこそ完全に『加工』と呼んで良いような仕上げを素人が簡単にできる時代になりました。

ここらへんはもうその人の価値観や主義によって大きく変わってくるので、どこまでを『現像』と呼び、どこからを『加工』と呼ぶかの線引きは難しいでしょうなぁ。フォトコンテストなどでもここらへんの規定は微妙な表現になっていますし。

とりあえず人を足したり消したり、夏の景色を冬景色に変えたり、青空を夕焼けに変えたり、そういった作業は『加工』と呼んで問題ないでしょう。

いつになってもフィルムにこだわりすぎて、時代についていけていない人などは「写真ってのはシャッター押したら終わり!そこからアレコレするのは写真とは呼ばん!!」などといまだに言っていたりしますが、本人がそう思っているならば別にかまわないんです。

ただしそれを声高に主張し、他人にまで押し付けようとするのは勘違いを通り越して病気かと。

どうしてカメラ界隈って新しい技術を否定し、古臭い考えで一流ぶっている原始人が多いのでしょうねぇ…。

「真実を写すから”写真”なのです」という言葉も一理ありますが、今の時代となってはただの言葉遊びかと。

どこからが加工?どこまでが現像?

さてさて。ではどこまでやったら『加工』で、それ以外はどう呼べば良いのか。

ここらへんは前述したとおりその人の価値観や主義に関する問題ですので、一概に決められたものではありません。

私はRAWで撮影し、ストックフォトとして販売する作品は『より印象的に見えるように』現像。作品として仕上げたい場合は、さらに『何を表現したいのか』に焦点を当て、より深く世界観を出すように調整して現像しています。

そういった使い方の人間としては、

  • 何かを大きく足したり消したりする。色味を大きく変えたりする。
    (人物写真の場合は体型や肌質などを修正する)
    『加工』
  • より印象的にする意図で、彩度や明暗のバランスを調整する
    (人物写真の場合は肌の質感なども整える)
    『レタッチ』
  • 普通に写真として仕上げる
    (もちろん彩度や明暗は調整する)
    『現像』

…という表現が適切だと思っています。ただし人との会話や文章などでは『レタッチ』も含めて『現像』と表現しています。

おそらく「無加工です!」などと言っている人からすれば、RAWをイジっている時点で全て加工に当てはまるのでしょうが、『RAWで撮影』→『そのまま一切何もせずにJPEG出力』なんてする人はいません。それでは最初からRAWで撮影してくる意味が(ほぼ)ありませんから(一部例外を除く)。

『現像』と『プリント』は違う

ついでなのでオマケの余談を。

何度も『現像』という言葉を使いましたが、中には「現像って写真(ペラッペラのアレ)にすることでしょ?」と勘違いしている人は多いのではないかと。

フィルム時代とデジタル時代での『現像』は工程も意味合いも異なりますが、どちらも『写真(用紙に印刷)にすること』ではありません。それは『プリント』です。

フィルム時代、一般の方は撮影したフィルムをお店に持ち込んで現像とプリントを同時にしてもらうのが普通だったため、同時プリントしてもらう事を『現像に出す』と表現し、そのまま『現像=写真用紙に印刷すること』という勘違いがいまだに正されていないのですな。

たまに仕事でも「では後ほど、現像して送るのでー」などとうっかり言ってしまうと、「え、現像してもらえるの?(プリントしてもらえるの?)」と言われたりします(汗)

別に専門用語ではありませんので、できれば『現像』と『プリント』の違いくらいは理解して欲しいな…と。

加工?レタッチ?現像?個人的なまとめ

…というわけであくまで超個人的な見解ですが、まずはデジタルカメラで撮影しておいて『無加工』なんて言葉を使うのはやめましょう。それならば少々バカっぽい表現ではありますが『(JPEG)撮って出し』が適切ですよ、という話。

というかね、「無加工です!」「そのままを表現しています!」とか誇らしげに言っている方には、「ちょっとトーンカーブを調整した写真まで加工になるんですか?」と聞きたいくらいですよ。

これって、マニュアル撮影に関しての議論と同じで、実はRAW現像なんて1回もしたことない(やり方もわからない)、もしくはやってはみるがよくわからない…という人ほど「無加工!無加工!」と声高に言いたがるんですよね。

よくある『撮影はRAW?JPEG?』の議論も、ムキになってJPEGを押している人に限って実はRAWを使いこなせていなかったり。

要するに自分ができない事を否定しているだけ。自己弁護の一種ですな。

まずは否定する前にしっかり学んでやってみましょうよ、と。

しっかりRAWで撮影し、それを作品として仕上げるデジタル技術を備えたうえで、『無加工』(と呼んでいる仕上げ方)を誇るならば全く問題ないと思うのです。

もちろんさきほど触れたように一部例外もありますので、RAWをそのままJPEGに変換したものを『無加工』と呼ぶというのならばそれは口出しできません。例として、カメラやレンズのレビュー記事などで『撮った画像そのままがどうなのか』を提示したい時などですな。

あ、やはりスマホ撮影した写真を『無加工』と呼ぶのも良しとしておきましょうか。そいういう方の言う『無加工』『撮った後に画像フィルターを使っていない』という意味ですので、まったく別のレベルの話ですし。