カメラのうえにくるくる回すダイヤル。そこに並ぶアルファベットやらアイコンやらの表示。
果たしてコレはなんぞや?
どのメーカーでも『M』『S』『A』『P』の4つは共通(一部を除く)、それ以外はメーカーによって表示も数も異なってきます。コレはオリンパスのOM-D。
一眼やミラーレスなどのレンズ交換式カメラだけでなく、ちょっと立派なコンパクトデジカメにもついています。
私も完全素人でコンデジを使っていた頃は意味がわからず、『AとかPとかは偉い人が使うもの』といった感じで逃げていました。別にコレを回さなくても綺麗な写真は撮れるし、付いていないものとしよう、と(笑)
しかしせっかく付いているのに無視してはカメラが哀れ。せめて意味くらいは知っておいてあげたいじゃないですか。
…という事で、今回は『カメラの撮影モード・AとかPとかって何?』について、素人目線でゆるーく解説致します。
Pとは?
まずは最も簡単に撮影できる『P』。プログラムオートと呼ばれます。
被写体の明るさに合わせてカメラが勝手に『絞り(F値)』と『シャッタースピード』を調整してくれるので、完全オートモードに近い感覚で撮影することができます。
しかし細かい事をやろうと思ってもできない完全オートモードと違い、撮影者のちょっとした思いに対応してくれる気配りさんがP。
『露出補正』を自由にくりくりと変更することができ、「光の眩しい感じを出したいなー」とか「ダークに薄暗く撮りたいなー」といった要望にもお応えしてくれます。
さらにオートで決定された数値から『絞り(F値)』や『シャッタースピード』を変更する事も可能ですし、それ以外の小難しい設定もやろうと思えば変更可能です(機種によって違いあり)。
ほっといても全部勝手に仕事をこなしてくれるし、口出しすれば対応もしてくれる有能なヤツです。
・初めて遭遇する撮影環境でどう撮ったら良いか悩む時
・明るい場所に出たり暗い場所に入ったりなど、周囲の光量が頻繁に変化する状況
Aとは?
オート大好きっ子のデフォルトとも言えるのが『A』、『絞り優先オート』になります。
私も基本はこのモードを使用しています。
『絞り(F値)』を自由に決める事ができ、それに合わせてカメラが最適なシャッタースピードを選択してくれます。
ただしレンズの開放絞り値よりも開ける(数値を小さくする)事はできません。24mmF3.5となっているレンズであれば、開放絞り(最大絞り。数値は最小)は3.5までです。
逆に最小絞り(数値は最大)も上限が決まっており、F100とか200とかまで絞る事はできません。そこまで絞る理由もありませんけど。
絞りに合わせてシャッタースピードが変わるため、暗い場所で絞った場合などはシャッタースピードが遅くなり、手振れの原因になったりします。注意しましょう。
・ボケ具合を調整したい、被写界深度を調整したい、といった場合
Sとは?
Aとは逆にシャッタースピードのほうを自分で決めるのが『S』、『シャッター優先オート』になります。
こちらが決めたシャッタースピードに合わせてカメラが最適な絞り値を選択してくれるのですが、やはり絞りには上下限がありますので・・・あまりにもシャッタースピードを速くしすぎると開放絞りでも光が足りず暗い写真に仕上がってしまいます。
逆にシャッタースピードをかなり遅くする(長く露光させる)と、明るすぎて白く飛んだ写真になってしまいます。
・歩いている人物や車など、動きのある被写体の一瞬を切り取りたい場合(シャッタースピードを速くする)
シャッタースピードを遅くして動きをつけたいのに、明るすぎて白飛び写真になってしまう…という場合はNDフィルターを使用します。
Mとは?
憧れの『M』、全てを自分で決める『マニュアルモード』です。
『シャッタースピード』も『絞り(F値)』も自分で決めなければなりませんので、ちぐはぐな設定で撮影するとそれはもう写真にすらなりません。
AモードとSモードは自動で『露出(明るさ)』を調整してくれていましたが、Mモードでは自分が設定したシャッタースピードと絞りによって明るさが決まりますので、ダイヤルをくるくる回して+1とか+2などと調整することもできません。
しかしそのぶん自由な表現をすることができ、AモードやSモードでは撮れなかったような写真を撮影する事ができます。
・絞りとシャッタースピードの関係を身体に叩き込みたいとき
・見栄を張りたい時
カメラの撮影モードの違い・まとめ
最近のカメラは非常に性能が高く、某プロ写真家の方も「別にオートでいいじゃん」と発言するほど便利かつ優秀。今回紹介したAやSやPではなく、全てカメラ任せの完全オートモードですら素晴らしい写真をバリバリ切り取ってくれたりします。
『オートで撮るのはカッコ悪い。素人っぽい』とか『マニュアルを使うのが上級者』とか、そんな事は一切ありません。そんな事を言っているのは変にプロを気取りたがっているアマチュアくらいです。
カメラは出来上がった作品こそが大事。そこに至るまでの過程にこだわりすぎると、余計に遠回りをしてしまったりカメラがつまらなくなったりもします。余計な事は気にせず、恩恵にあずかりながら良い作品を数多く撮れるようになりましょう。
鉄砲が開発された中世に、「そんなもんで戦うヤツは根性なし!やっぱ石斧で相手の頭を割らないとね!」とか言ってても撃たれてチーンですよ。
・・・・ただし「使わない」と「使えない」は全く違います。
私も基本はAかSしか使いませんが、それでは狙った表現ができない時など、Mモードのありがたみを感じます。
もし暇があればMモードの練習をしておくのも良いかもしれません。たしかに面倒臭いですけどね。いざという時のため…です。